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保険の見直し

保険の「入りすぎ」はなぜ起きる?相談現場で見えた3つのパターン

保険の「入りすぎ」は、①目的を言えないまま続いている保険、②必要額を試算しないまま重ねた保障、③「貯蓄になるから」で入ったまま判断が止まっている保険——この3つのパターンでほとんど説明できます。そして共通する原因は、知識不足ではなく「一度も棚おろしをしていないこと」です。

この記事の前提

当事務所は累計500世帯のご相談をお受けしてきました。相談記録が整理できている225世帯を集計すると、保険の見直しに関するご相談は174世帯。資産運用に次いで2番目に多いテーマです。

本文中の事例は、個人が特定されないよう複数のご相談を組み合わせて再構成し、数字も一般化しています。特定のどなたかの話ではありません。

パターン1 目的を言えないまま続いている保険

いちばん多いのがこれです。典型は、子育て期に入った死亡保障中心の保険を、お子さまの独立後もそのまま続けているケース。「何のための契約ですか」とお聞きすると、答えに詰まってしまう。保障の中身を把握しないまま、保険料だけを払い続けている状態です。

なぜこうなるのか。保険は「入るとき」に一番エネルギーが使われる商品だからです。加入時には家族構成や収入をもとに設計されますが、その後の生活の変化に合わせて中身を点検する機会は、契約の中に用意されていません。

売り手側の事情も正直に書きます。代理店や営業担当に支払われる手数料は、契約の時点に比重が置かれていることが多く、契約後の見直しは売り手の新しい収入になりにくい。だから入り口の提案は熱心でも、「その後」は誰からも声がかからない。担当者個人の怠慢というより、業界の仕組みの問題です。手数料で運営されている当事務所も、この仕組みの内側にいます。だからこそ、定期的な点検の場を意識して設けるようにしています。

パターン2 必要額を試算しないまま重ねた保障

2つめは重複です。死亡保障の必要額を一度も試算しないまま、「安心のため」にその都度足していった結果、同じ種類の保障が複数の契約にまたがっているケース。医療の保障が3つの契約に入っていた、という例もめずらしくありません。

本来、民間の保険で備える金額は「万一のとき、公的保障と貯蓄で足りない分」です。会社員や公務員の家庭なら、遺族年金や健康保険の高額療養費といった公的保障がまず土台にあります。ところが、この引き算を教わる機会はほとんどありません。不安はその都度やってくるので、引き算をしないまま加入だけが積み上がっていきます。

逆のケースもあります。試算してみたら、実は必要額に届いていなかった——つまり「入りすぎ」ではなく「足りていなかった」という方も、実際にいらっしゃいます。どちらなのかは、試算して初めて分かります。

パターン3 「貯蓄になるから」で入ったまま判断が止まっている保険

3つめは、保障ではなく貯蓄を目的に入った保険の放置です。典型は2つあります。外貨建ての保険を、為替の影響を十分理解しないまま契約し、円安・円高の局面で「解約すべきか続けるべきか」を決められずに止まっているケース。そして、60歳前後で満期を迎える貯蓄型保険の受け取りが、老後資金の計画とつながっていないケースです。

保障と貯蓄がひとつの契約に混ざると、良し悪しを測る物差しが2本必要になります。保障として要るかどうか。お金の置き場所として合っているかどうか。この2本を分けて考える整理を契約時にしていないと、環境が変わったときに判断のしようがなくなるのです。

見直したほうがいいサイン

次のどれかに当てはまるなら、一度棚おろしをする価値があります。

  • 今入っている保険の保障内容を、ざっくりとでも説明できない
  • お子さまの独立・住宅ローン完済・退職など、大きな変化のあとに一度も見直していない
  • 「誰の・何に備える契約か」が言えない契約がある
  • 同じ種類の保障(医療・死亡など)が複数の契約にまたがっている

急いで見直さなくていいケース

一方で、見直しを急がなくていい場合もあります。ここを飛ばして「保険は見直すべき」とだけ言うのは、煽りになってしまうので書いておきます。

  • 目的と保障額が今の生活に合っていて、保険料にも納得している
  • 健康状態や既往歴により、いま手放すと同じ条件で入り直せない
  • 昔の貯蓄型の契約で、いま解約すると受け取りが不利になる

特に50代・60代のご相談では、既往歴を理由に「あえて残す」判断をすることが実際にあります。見直し=解約ではありません。残す・手放す・様子を見るの3つに仕分けることが見直しです。

再構成事例:3つのパターンが1つの家庭に重なっていたケース

50代のご夫婦の例です(前述のとおり、複数の相談を再構成しています)。子育て期に入った死亡保障中心の保険をお子さまの独立後も継続し(パターン1)、医療の保障は複数の契約に重複(パターン2)、外貨建ての保険は円安局面で判断が止まっていました(パターン3)。

棚おろしでは、まず遺族年金と貯蓄を差し引いた必要保障額を試算しました。そのうえで死亡保障は減額し、重複していた医療の保障は整理。外貨建ての保険は「何のためのお金か」を決めたうえで、今回は残す判断になりました。毎月の保険料はおよそ3分の2になり、全体としては「全部解約」でも「全部継続」でもない着地です。

まとめ

  • 入りすぎの典型は「目的不明の継続」「試算なしの重複」「貯蓄型の放置」の3パターン
  • 原因は知識不足ではなく、契約後に棚おろしの機会がない仕組みそのもの
  • 見直し=解約ではない。残す・手放す・様子を見るに仕分けることが見直し

当事務所では、今入っている保険を1件ずつ棚おろしし、重複や不足がないかを確認するご相談をお受けしています。不要な解約を勧めることはありません。相談料は何度でも無料です(複数の保険会社と募集代理店委託契約を結ぶ乗合代理店に所属しており、保険会社等から支払われる手数料で運営しているためです)。

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この記事に関するよくある質問

Q保険に入りすぎかどうかは、どうすれば分かりますか?
A

判断の基準は「万一のとき、公的保障と貯蓄で足りない分」を民間の保険で備えられているかどうかです。遺族年金や高額療養費などの公的保障を差し引いた必要額を一度試算すると、入りすぎか、ちょうどよいか、足りていないかが数字で分かります。保障内容を自分で説明できない契約がある場合は、棚おろしのタイミングです。

Q保険の見直しを相談すると、解約を勧められませんか?
A

見直しは解約と同じではありません。契約を「残す・手放す・様子を見る」の3つに仕分けるのが見直しです。健康状態や既往歴によっては、同じ条件で入り直せないため、あえて残す判断をすることもあります。当事務所では不要な解約を勧めることはありません。

Q保険を見直すタイミングはいつがよいですか?
A

お子さまの独立、住宅ローンの完済、退職など、家計の前提が変わったときが見直しのタイミングです。保険は加入時の家族構成や収入をもとに設計されているため、大きな変化のあとに一度も点検していない契約は、今の生活と合っていない可能性があります。

片岡FP事務所 代表 片岡佳樹
片岡 佳樹 片岡FP事務所 代表/ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士・証券外務員一種) 勉強してもなお動けずにいる方を、決めて動けるところまでお連れすることを何より大切にしています。 プロフィールを見る →

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